重要なお知らせエリアを非表示

2020/11/25 02:18

こんばんは。

WhiteKings店主です。


先のコラムでは
綺麗/そうでないの二者択一で時計の価値を
判断する時代は終わりを告げた、と書きました。


結局、美しいとは何なのでしょうか。

店主はコラム【面影】で書いた通り
元々は外観に傷みのない時計だけを集めてきました。
分かりやすく”清潔”であり、美しいからです。

一切の使用感を感じさせない美しさと
時を重ねる中で生まれた美しさは
やはり別の”美しさ”です。

不潔さや単なる劣化を感じさせる時計を
当店の感性で除外していることは
やはり感性に由る部分が大きいと言えます。

店主はどちらの美しさも好きです。
様々なパターンの”美しさ”をラインナップできればと
考えています。


----------------------------

ブラウンチェンジ。
黒い文字盤=ブラックダイヤルが
茶色く変色することをこのように表現します。

塗料の変色や酸化、地金の錆の影響など
その要因は枚挙にいとまがないと言えます。

個体によって要因が異なることもあれば、
複数の要因が重なり合うこともあります。

一般的には、
表面に艶のある塗装方法の文字盤=
ミラーダイヤルで発現するケースが多く、
塗装技術が発達した1960年代以降の艶消し文字盤
マットブラックダイヤルでは起こり難いと言えます。

ただ、
『マットブラックダイヤルでは絶対起こらない』
訳ではありません。


OMEGA Seamaster600 Black Technical dial Red cross line



当店が”Jupiter(木星)”と呼ぶこの個体。
渦を巻くように色の濃淡がぶつかり合う表情が
非常に印象的です。



元々はこのようなマットブラックダイヤルです。

この顔は摩訶不思議なエイジングだと
店主は感じています。

本来のマットな質感は消え失せており、
艶感を有しているようにすら見えます。

通常ここまで激しいエイジングだと
描かれた文字もろとも消えてしまいます。

しかし各々の字は非常に明瞭。
ペットネームと搭載ムーブメントを示す白い筆記も
ダイヤルに浮かぶようにはっきりと残っています。



この個体のΩマークとクロスラインには
退色しやすいと言われる赤が用いられています。

これも文字盤の変貌に抗うように、澄明。



なぜ赤なのかという点ですが
専門性を表しかつ視認性を上げるため
とも言われますが、
OMEGAのイメージカラーが赤だからという
単純明快な理由かもしれません。


こちらは整備後のお渡しとなります。
実物はArtigiano-Tokyoにて
ご覧頂けます。

東海地方の方で現物確認を希望の方は
別途ご相談ください。


このようなエイジングを扱えること
当店もうれしく思います。

特別なブラウンチェンジを
ご堪能下さい。



WhiteKings