2025/05/22 23:09
White Kings 店主です。
昨年5月に当店がオリジナルアイテムとなる
本格ドレスシャツ『LUMI』を展開してから1年。
この度、ヴィンテージウォッチ専門店と
気鋭のシューメイカーによる、
異色のコラボがWhite Kingsにて実現します。

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dito × White Kings
『Pou up Store "137"』
2025.06.14(Sat.) 12:00-19:30
2025.06.15(Sun.)12:00-18:30
(計2日間)
【開催場所】
東京都中央区銀座1丁目19-12
八木ビル3階B室※当店Whihte Kings 内
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世界各国のヴィンテージ木型をもとに
ハンドメイドでのオリジナルシューズ
製作を手掛けるレザーシューズブランド
『dito』が当店White Kingsとタイアップ。
ヴィンテージ時計屋だからこそできる、
ヴィンテージ時計以外のご提案として、
当店初の試みである『ドレスシューズ』
の製作にditoと共に挑みます。
今回のブログでは新モデルの告知を前に、
ditoのブランドコンセプトとWhite Kingsの
共通点について数回に渡りご紹介していきます。
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【dito(ディート)】について

ditoは東京・浅草にアトリエを構える
革靴専門のシューメイカーです。
型紙/デザインのスペシャリストである増渕氏と
海外経験を積み紳士靴製作歴の長い石井氏が、
二人三脚で靴作りを行っています。
ともに”World Championships of Shoemaking”
(靴作りの世界大会)で入賞歴のある実力者
でもあります。

元々dito代表の増渕氏とは当店のお客様という
関係からスタートしました。
そのモノ作りの考えやプロダクトに求める
方向性などに共通点が多く、
今回のコラボが実現しました。
ditoはデザインから靴製作まで一貫して自社で
行うストイックなスタイルをとっています。
デザインやパターン制作を自ら行い、
分業制が進んだ靴業界の中で外注を行わず
自社工房で完結させる製造方法は珍しいと言えます。

アメリカ・ドイツ・イタリアなど
”国”ごとのモデルが用意され、
採寸や微調整、皮革や細かな仕様を
選択しながら靴を完成させる
受注方式をとっています。
※ビスポーク(フルオーダー)にも対応


ditoの作品群にはドレスシューズ、
スポーツシューズともに存在しますが、
どれも均整のとれた品あるスタイルを
踏襲しながらフォーマルとカジュアルが
同居した絶妙なバランス上に成り立っています。

これは、革靴を人を縁どる
”ギア(動力装置)”と捉え、
『日常で使い込んでほしい』
という考えに基づきます。
鑑賞目的や部分主義になりがちな
革靴の見方を取り去り、
人の身の一部となるよう仕立てる姿勢は、
隙のない、あるいは誇張された
靴作りへのアンチテーゼのような、
独自の味わいが滲み出ます。

ditoの特筆すべき点は、
世界の靴の木型をコレクションし、
それを実際に靴作り現場で
"使用"しているという点です。
昔の木型を参考にしている例はありますが、
当時の木型をそのまま活用するスタイルは
ditoくらいではないでしょうか。


それぞれの木型が持つ特性を読み解き、
何が重視され、どのような意味があるのか?
を理解し注文主に最もフィットする木型を
提案しています。
国によって異なる文化様式や体格・価値観を、
体型や体格・価値観を含め多様化が進んだ
現代で新たな形にするという試みに挑んでいます。

彼らがヴィンテージの木型を使い続ける
理由は大きく分けて3つあります。
一つは人の足に合わせて作る
『人ありきの木型』が守られていた、
履くことが前提の作りであること。
一つは機能に根差したモノづくりの先に宿る、
靴と人が一体となった美しさを追求すること。
そして、先人が遺した”功績”を受け継ぎ、
自身たちが新たな形にして未来に遺す。
ということです。
そのスタンスは工房に並べられた
年季の入った工具にも表れています。

手入れの行き届いた工具たちは石井氏が
修行時代に集めたヴィンテージが中心です。
木やすり一つとっても古い工具の作り込みの
丁寧さが際立ちます。


石井氏はそういったヴィンテージ工具を、
敢えて以前の持ち主の個性が残った状態で
メンテナンスしながら使うと言います。
職人はおろしたての工具に必ず加工を施します。
靴にオリジナリティを与えるだけでなく、
綺麗に靴が仕上がるよう新品の道具の形を
整え使いやすくするのが最初の仕事です。
ゆえに同じ道具でも同じ使い心地のものは
二つと存在しません。
『例えばこのコバ(靴底の側面)の溝を彫る
コバゴテという工具は、前の持ち主の形です。
この刃先を削って僕の形にするのは簡単ですが、
以前使っていた人の形も含めて個性だと思うんです』

『同じ工具を使っても、以前の人の線とは違う線になる。
その人の個性に僕の個性が重なると、新たな線が生まれる。
古いものを大切にする考えは修業時代に学びましたが、
何かが人から人へ渡っていく連続の中でオリジナリティが
生まれるという考え方が気に入っています』

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モノの中心には常に『人』が存在し、
ものを通して人がバトンを繋いでいく中で
新たなオリジナリティが醸成されていく。
この考えが、
ヴィンテージOMEGAを扱う
当店のスタンスと合致しました。
ここまで書いた内容も、
日頃当店がブログやSNSで
発信している考え方と何ら変わりがない。
と気づいた方も多いと思います。
今回のご縁は在るべくして在った、
と感じております。
期間中は当店とのコラボによる
ditoのNEWモデルの受注を開催。
ヴィンテージOMEGAをモチーフ
としたモデルが展開されます。
※6月1日発表予定となります。
同時にditoが放つ各オリジナルモデルの
受注も可能となっております。
次回はその具体的な製法について
ご紹介してまいります。
続
White Kings 店主