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2021/01/22 08:36

こんばんは。

WhiteKings 店主です。

当店はSeamaster120や黒文字盤の仕様を
独自に研究していますので、

『真贋をして欲しい』だったり
『この個体は買いか否か?』
というご相談をよくいただきます。



こういったご相談を頂く多くの場合、
『本物を安く買いたい』
『あやかりたい』という
もっともな?理由に基づいています。

(単に純正仕様であれば当店で
お買い求めいただくのが確実と思います)

以前コラム
『一番安く買う方法はお店』とお話ししました。

昨今、流通価格が十万円以上する時計で
いわゆるラッキーパンチを狙うのは
非常に困難と言わざるを得ません。

極端に安い個体は『価格なり』どころか
『価格以下』『そもそもお金を払ってはいけない』
ものが99.9%です。

時計は盤石な市場と相場が確立されており、
アンダーグラウンドな組織も
『騙せばお金になる』
ことをしっかり把握しています。

『別に純正部品でなくても良い』
『それらしい見た目であれば良い』

という感覚は特に狙われやすく、
細部に”拘り”のない個体は得てして
悪意が見え隠れするものが多いのが特徴です。

ROLEX等は中身が偽物である場合が多いですが
OMEGAの場合逆にムーブメントには本物が
採用されていることがあります。

全く無関係の別モデルから機械を移植できる
というOMEGA特有の事情があるためです。

そのためジェネリックやカスタムと称した
粗悪な模造品の製作キットで組まれた
悪質製品の素体として使われる事があります。




本物と偽物を組み合わせた二面性のある個体。
騙すことが前提の悪質な手法と言わざるを得ません。

真贋の論議は模造品製造の手助けとなるため
ここでは出来かねますが、
取り敢えず異様に綺麗だったり
本来の仕様と違う部品が嵌っている個体は
疑ってかかったほうが良いでしょう。


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世の中のヴィンテージウォッチには
後年に修復・または創作されたものには
再現できない表情を持つ個体があります。

最もわかりやすいのは
ブラックミラーダイヤルでしょう。

ミラーダイヤルは多層構造で
当時と同様の製法で再現するのは困難です。

この数層に塗り分けられた仕上げにより
何とも言えない奥行き感や立体感を
感じることができます。





こういったオリジナルの経年変化には
特定のパターンが存在し、見慣れた人間であれば
つぶさにリダンかそうでないかは判断できます。

パターンやプロセスがあるとはいえ
その表情の出方は様々です。
ときに劣化と呼ぶのはあまりに無礼なほど
美しい表情を見せます。

これの表情は特定の条件でほんの一瞬だけ
顔をのぞかせる場合もあります。

普段見えないものや表情が見えたときに
はっとするのは、人も時計も同じだなと感じます。




1950’s OMEGA Moon Dial Cal.266




表面のグロス層の下で時を経てエイジングした
文字盤。

正面や、暗いシーンでは黒。




すっかりグロスの艶は失われたかに見えますが…




角度をつけると
月面のクレーターのような表情が現れます。

カーボングレーに退色した色味は
言葉では表現できない静寂を湛えています。







この頃のOMEGAロゴは
エッジングされた鋭角な書体ではなく
角が丸く、飴細工のような艶感が特徴です。




初期の30mmキャリバーならではの
スモールセコンドも魅力の一つ。

30mmキャリバーは
名前の通りかなり大型の機械ですので、
時計自体も当時としては大きめで存在感があります。






おかげで飛びアラビア数字は少し小さめに
感じ、文字盤の余白がより美しく見えます。
エイジングを堪能するにはうってつけでしょう。

二面性は、人の心を豊かにするギャップで
あってほしいなとつくづく思います。





当店はOMEGAのブラックダイヤル=黒文字盤
とりわけドレスウォッチに力を入れています。

当時のままの仕様が良いという方は
どうぞ当店にご相談下さい。



WhiteKings