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2020/11/28 03:14

こんばんは。

WhiteKings 店主です。


『ゴールドレターと呼ばれる文字盤の書体は
 本当に金色に光るんですか?』
『単に金色っぽいという形容なのですか?』
『白い筆記が変色してこうなるんですか?』

こんな質問を頂きます。


ゴールドレター(Gold letter)とは
文字通り”金色の書体”を指します。

ミラーダイヤルと呼ばれる
艶のある文字盤にかつて採用された
仕上げです。


答えとしては、
OMEGAのものに関しては文字通り
金色に光りますし、最初から金色です。





ちなみに
ギルト(GILT:金箔)ダイヤルと
ゴールドレターは同義です。

どちらも書体やマーカーが
金色であることを指しています。
※インデックスのことではありません。

海外ではGILTという表現が主流です。
ゴールドレターは和製表現かもしれません。


ROLEXに関しては
ゴールドレターの定義(や素材)に
若干の揺らぎがあります。

店主は
ヴィンテージROLEXに明るくなく
見た範囲でしかモノが言えませんが、
ゴールドレターと売りに出されている時計で
光沢ある金色もあれば、何となく金色かな?
…黄土色?
というものまで様々です。

厄介なのは、白い書体が経年で退色した
ものをゴールドレターと称するケースです。





当店は、こういった経年で生じた変色は
ゴールドレターと定義していません。
あくまで当時から金属光沢を放つもの
だけをゴールドレター/ギルトと呼びます。


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『ゴールドレターは
本当に金箔で出来ているのか?』

その素材は長年不明とされています。

店主としては、OMEGAに関しては
恐らく金であろう、
あるいは金素材が混ぜられている
という立場です。

外的影響を大いに受けた文字盤であっても
ゴールドレターは不自然なほど退色しません。



様々なコンディションの文字盤を
見比べてもこの書体の色味だけは
ほぼ同等なのです。

金であればこの現象は説明がつきます。

もし黄土色の着色をラッカーの光沢で
『金艶っぽく』見せているのであれば、
表面のラッカー光沢が剥がれた時に
レターの光沢も消えるはずです。

しかしラッカーの光沢が脱落しても、
ゴールドレターの輝きは失われるどころか
ますます強く輝きます。




1950’s OMEGA 30mm Caliber GILT DIAL Cal.283



非常に渋いダイヤルです。

元々ミラーダイヤルだった表面の
ラッカー光沢(グロス)は、
経年で完全に失われています。

この地金が透けて薄金色に輝く様は
ミラーダイヤルのエイジングでのみ
楽しむことができます。



そしてこのゴールドレターの輝き。



表面のエイジングをものともせず
70年もの間鎮座する”OMEGA”の文字は
威厳すら感じます。



このギラギラとした文字盤は
Star dust(星屑)とも表現されます。



確かに真夏の星空のようです。

決して文字盤を修復しなかった先に
現れる満天の星空。贅沢です。



もう一本、ご紹介です。


1950’s OMEGA Seamaster Silver letter bumper Cal.354


こちらは表面のグロスが残った個体。

シルバーレターと呼ばれる
銀色の冷たい書体が特徴。



書体も相まって、
下から透ける金属光沢の輝きが
更に強調されています。



分かりやすく、星屑。
ミラーダイヤル特有の書体の
消失現象も現れています。



こちらもエイジングをものともしない
キレッキレの書体。

素材が非常に気になります....

Twitterで触れましたが、
この文字は製造工程で
文字盤の地金に直接張り付いており
文字盤の塗装に載っているわけでは
ありません。

文字が剥がれない大きな理由でもあります。

そして
これらがStar dustと呼ばれる所以は
照明を落とすとより顕著になります。





電球の下で
レターと共に反射する無数のスポット。
自分だけのプラネタリウムのようです。


お酒でも飲みながら、
時を忘れて文字盤を眺め続けたいものです。
店主は下戸ですが。


この2本は
信頼のおける機械を搭載しており、
時計としての機能も申し分ありません。

愛でて良し、使って良しの1本です。
パートナーとして迎え入れてもらう日を
静かに待ち続けています。

WhiteKings