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2020/08/05 00:27

こんばんは。

WhiteKings 店主です。


当店は
”黒”の紳士時計に非常に拘りを持っています。


過去コラムでもたびたび取り上げてきました。

当店スタッフは
時計の文字盤を新しく描き換えず
その年老いた表情に
詫び錆びや美を見出そうとしています。


当時の黒い文字盤、
特に艶のあるミラーダイヤルという仕上げは
その製法や色素の特性上
外観をキープすることが困難でした。

生まれながらにして
老いていくことが決定づけられていました。

当時のままの文字盤が少なく、
多くが描きかえられている理由の一つです。

スポットやシワの入った文字盤は
さながら歳を重ねた生き物のようです。


当店はそんな
”滅びゆくもの、消えゆくもの”への美学を
この黒い文字盤に重ねています。


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経年変化、エイジングが当たり前の
黒文字盤=ブラックダイヤルですが、

非常に、極稀に、
驚くべきコンディションで
現代に姿を現すことがあります。

何故このような状態で遺っていたのか
その事実自体が驚きです。



OMEGA 1960's
30mm Carlber Black mirror small second



海外の愛好家は、この濡れたような外観を
"sweet"
または”chocolate(チョコレート)"
と賞賛・表現することがあります。
日本人にはない独特の感性です。


確かに
まるでとろけたような艶やかさは
甘美なまでの魅力を放っています。



この澄んだ水面のような、
とろけるような
なんとも表現しがたい輝き。




金色の針と書体が、
流体上に浮かんでいるかのようです。




ミラーダイヤルと呼ばれる仕様の中でも
この艶は限られた年代に存在します。

OMEGAでは、
1960年前後に採用されていました。




本当に吸い込まれてしまいそうな表情です。

ボディは一度も磨かれていないようで、
当時のエッジがしっかりと残っています。



このミラーダイヤルの特徴に
『レタリングの消失』があります。


光の当て方を変えるとその現象は起こります。

ゴールドで描かれた文字やマーカーが
突如、姿を消してしまいます。



まるで文字盤に沈んでしまったかのよう。

波風のない水面。
そんな静けさを纏った表情です。


レタリングは、表面の透明なグロスに
沈むように閉じ込められており
光の屈折で消えたように見える
と言われていますが、
この現象の詳細は明らかになっていません。


コンディション、製法などにより
全てのミラーダイヤルに起こるとも限りません。

持つ者だけが知る
偶然の産物による特別な仕様です。


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こちらの時計は現在
日本橋のブースにて展示しております。

元々は店舗限定販売の個体でした。

コロナの影響で
ご来店が難しい方も多いかと思いますので
SNSや公式サイトでも積極的に店舗限定商品を
公開しております。

チェック頂ければ幸いです。

販売ブースは
コロナ感染対策に細心の注意を払い
11:00-20:00の間、営業しております。

お近くの方は実物をご覧頂ければと思います。

【商品詳細】



WhiteKings 店主