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2020/07/25 03:12

こんばんは。

WhiteKings 店主です。

腕時計を探していると
”ダブルネーム”
という単語を目にするようになります。

ダブルネームとは、
2つのメーカー・2つのモデルなど
本来別のものとして扱われる表記が
並記された時計全般を指します。

何かのタイアップだったり記念だったり
貴重な存在としてしばしば取り上げられます。


ダブルネームと呼ばれる個体は
どの時計メーカーのものも少ない傾向です。

半面その希少性から、
本来存在しないダブルネームが
後年に創作されたりもします。

本当にその時計が存在したのかどうか
存在したとしても果たして本物なのかは
時計を研究する者たちにとって悩みの種です。


しかしダブルネームには、必ず意味があります。

どういう経緯で作られたのか
どのような繋がりがあるのか

並記された名前をひも解くことで
全貌が見えてきます。



OMEGA 1960’s Seamaster De ville Automatic Cal.565




OMEGAにとって
シリーズの方向性を決定づけた特別なモデルです。


現OMEGAのラインナップの通り
シーマスターとデビルは異なるシリーズです。

今でこそ
OMEGAのクラシカルなドレスウォッチとして
君臨するデビルですが
元をたどればシーマスターと血を分けた兄弟。
つまり同じシリーズでした。


Seamaster De villeは
1963年に誕生しました。

一説によるとOMEGAは両者を
別シリーズとしてデビューさせたかったものの
市場で大きな影響力を持つ某国の意向に沿い
シーマスターの1ラインに留めたとされています。

しかしその作りは、さながら
『デラックス・シーマスター』とも呼べる
特別感に満ちたものでした。


大きな特徴は、
ボディケースと裏蓋が一体となったモノコック構造。





モノコックについては、
以前Seamaster COSMICのコラムで言及しました。

【関連コラム】


COSMICのモノコック構造の先発が
Seamaster De villeと言えるでしょう。


美しいボディシェイプ。




ボディケースと裏蓋には一切の繋ぎ目がなく、
薄く流れようなシルエットは
この構造でしか再現できません。

ボディの薄型化にも寄与し
カフ(袖元)にストレスなくするりと滑り込みます。





OMEGAのアップライト(立体)ロゴ。



Constellationのような豪華さです。


あふれんばかりに盛り上がったアクリル風防。
これも大きな特徴です。




他のシーマスターとは風防の取り付け位置が異なり
ドーム風防の中でもひときわ膨らみが目立ちます。



立体で繊細に表現されたシーホース刻印。



後年のデビルからは
この刻印は消失します。

ケースと一体となったシーホースは
2者の結びつきを象徴しているようにも見えます。


一見無関係で無秩序に見える
ダブルネームをひも解くことで
現代では知ることのない意外な繋がりを
発見することができます。





こちらの個体はInstagram先行公開です。

通常のシーマスターでは満足できない
という方にはこのような選択肢もあります。


今回は
シリーズ同士の繋がりについて掘り下げてみました。

【商品詳細】



WhiteKings 店主