2026/09/30 21:09
White Kings 店主です。
今回はWhite Kingsが創業当時から取り扱い続け、
当店におけるシグネチャーとして位置づける
『Seamaster120(シーマスター120)』
について再論します。


当モデルはこの8年で何度も取り上げてきましたが、
当店が一貫してラインナップする
『日常生活の先にあるヴィンテージウォッチ』
を語る上で欠かせないモデルであると考えています。
店主は元々Seamaster120のコレクターであり、
国内外においておそらく最も多くの
モデルをコレクションしてきたと思います。
当店だからこそお伝えできる部分、
単にダイバーズの一種として終わらない魅力を
当店を通してお伝えしていけたら幸いです。
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同一年代となります。
デザイナーは明らかにされていませんが、
ジェラルド・ジェンタが人間工学に基づき
考案したOMEGAのCラインケースを、
このモデルも忠実に踏襲していています。

120が他のダイバーズと決定的に違うのは、
『水から陸上に上がった”後”の生活』を
一つの時計に纏め上げた点にあります。
薄型かつ低重心を徹底し装着感を向上させ、
ミッドセンチュリー・モダンデザインが持つ
合理性と普遍性を機能に取り込んでしまいました。


時計が威圧しない。時計が人より前に出ない。
袖口に滑り込み、服の中に収まる。
普通の人が海へ行き、そのまま街へ戻る。
高性能を主張する意匠を削ぎ落とし
普通の人が海へ行き、そのまま街へ戻る。
高性能を主張する意匠を削ぎ落とし
着用者の生活に徹するデザインは、
現代のダイバーズウォッチの力強い存在感や
大ぶりなサイジングとまるで真逆です。

一見ダイバーズには不釣り合いに思える
大胆かつ匿名性の高いキャラクターですが、
当時としてはヒットを飛ばしており、
リゾート地を中心に高い人気を誇りました。
120には約7種類のバリエーションが存在し、
自動巻き・手巻きモデル / 大・小サイズ
それぞれにカレンダー機能有/無を用意しています。
最もスタンダードなのは自動巻きに
カレンダー(デイト)を搭載したモデル。

カレンダー機能を有したダイバーズとしては
スイス製時計の草分け的存在であり、
防水性能として発展途上だったORIENT(日本)の
『オリンピア カレンダー ダイバー』を除けば、
SEIKOの62MAS(国産初の本格ダイバーズ)に次ぎ、
カレンダー付の本格潜水機能を持った
2番目のダイバーズウォッチでした。
62MASとSeamater120が決定的に違うのは、
前者が南極探索などを目的とした『プロツール』
としてカレンダーを搭載したのに対し、
後者はあくまで『生活者のための時計』である。
という点です。

62MASが視認性に全振りし、
ある種の野暮ったさをたたえた
ザ・ダイバーズな外観に対し、
37mmというサイズに薄いケースと
細身の回転ベゼル、
繊細なバーインデックスとペンシル針を
採用する120の外観はやはり異端です。


同時に余白を大きくとったデザインで、
カレンダー機能の追加によるくどさを
極限まで薄めています。
カレンダー機能ありきでこのデザインが
完成しているといっても過言ではありません。
スポーツ時計として機能性を数多く
搭載しているにもかかわらず、
Seamater120がやけに洗練されているのは、
生活における余白を残したモダンスタイルの
化身であるから、と言えます。
Seamaster120が単に時計好きのみならず
デザインや建築、空間設計に携わる人々から
支持される理由も今なら頷けます。

Seamaster120の市場的な成功は、
Seamaster300にカレンダーを搭載した
モデルの登場を後押ししたと言えますが、
プロ仕様のSeamaster300のカレンダー機能は
62MASの発想に近い『探索機能の追加』であり、
Seamaster120のカレンダー機能の意図とは
やはり異なります。
海中では必須とは言いにくいカレンダーを
積極的にモデルラインナップに組み込み、
『日常使いできるデイト機能付き』
としたこと。
OMEGAがドレスモデルで培ってきた
センスがいかんなく発揮されていること。
装着者のデイリーユースを意識し
モダンに作りこんだCラインのスタイルに、
Seamaster120の独自性が強く表れています。
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自動巻き/デイトモデルが
Seamaster120の『王道』とするならば、
当ラインナップで最もモードな存在は
手巻き・ノンデイトでしょう。


一見すると最もストイックであり
無駄を削いだスタイルに見えますが、
自動巻きまで排しているという点では
ある種の合理性を欠いています。
当店はSeamaster120というモデルを、
単なる合理性の塊とは考えていません。
60年代におけて価値観の多様化が進む中、
ある人にとってはその合理性や機能性が
『邪魔』となることをSeamastere120は
バリエーションで示しています。


とにかく薄く、薄く。
そして軽い。
ノンデイト仕様を選択すると、
プロフェッショナルモデルが持つ
あの緊張感が戻ってくると同時に、
無骨さとは明らかに異なる
洗練された匂いに違和感を覚えます。
ミリタリーウェアをサンプリングした
モードアイテムを身に纏ったような
あの感覚です。

自動巻きとカレンダーの搭載で
ボディの厚みが増し余白が減るという
ビハインドを取り除き、
OMEGAがドレスモデルで培ってきた
センスがいかんなく発揮したスタイルは
攻めきったエッジが利いており、
最もモードな空気を漂わせます。

『ツールウォッチ』という解説が
今日までしっくりこなかったのも、
やはりSemaster120が持つ先進性と
ドレス要素が持つ上品さが、
単なるダイバーズウォッチとしての
分類を否定しているからと言えます。
ゆえにSeamaster120は重々しく分厚い
ダイバーズのイメージを切り崩し、
今日においてなお、もっともモダンな
ダイバーズウォッチとして君臨しています。
ヴィンテージダイバーズにも拘わらず、
当店が革靴やジャケットへの提案、
ミリタリーやワーク、モード、
ウール、ニット…
そしてシャツの袖元にも滑り込む
デザインレス/エイジレスなモデルとして
Semaster120を位置付けているのも、
OMEGAのクラシックの歴史に裏打ちされた
懐の深さを証明していきたいからとなります。

今回はノンデイト・手巻き仕様を2本、
公式サイトでご用意しました。
【Seamaster120シリーズはこちら】
手巻きノンデイトモデルは
ラインナップの中で最も薄型です。
その端正なスタイルを際立たせるのは
色々組み合わせた結果、
レザーベルト仕様かなと考えています。
当時もレザーベルト/ラバーベルト/
メタルブレスレット仕様が用意されており、
そのベルト部分の解釈の広さを含め、
120の柔軟さと特異性が表れていると思います。
ちなみにサイトに並ばない仕様も、
基本的には店舗にございます。
ダイバーズが持つ強さと、
ドレスウォッチの規律と節度。
スポーツモデルが持つ機能性と、
日用品としての親密さ。
この二律背反を備えた時計を
生活のパートナーとされたい方はぜひ
初代Seamaster120を手に取ってみてください。
White Kings

