2026/09/28 21:31
White Kings 店主です。
今回は当店が創業当初から
Seamasterと並び数多くのモデルを扱ってきた
『Constellation-コンステレーション』
がテーマです。
その中でも1960年代に登場した
最も象徴的なデザインとされる
『12角+ドッグレッグ・ラグ』の
組み合わせについてお話していきます。
なぜ当店がこのデザインを高く評価しているか、
その出自を読み解きながら解説いたします。
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ミッドセンチュリー・モダンを代表する
当デザインはOMEGAの公式情報によると
1960年初出とされます。
実際、当店で入荷した個体での最古が
1960年製ですのでこの発表は事実でしょう。
当店はこのデザインを
クラシック・コンステレーションの
終着点だと考えています。
全体を通して目を引くのは、
直線的な線が蜘蛛の巣のように広がる
幾何学的なスタイルです。

初めて目にした人はデザインのインパクトに
意識を持っていかれるでしょう。
面から放たれるキレのある輝きは
ヴィンテージウォッチのイメージから
想像する柔らかく人懐っこい輝きとは
異なるエッジの利いた姿です。

1950年代までの12角のデザインは、
曲線的なボディラインに12星座を暗示させる
この文字盤を配するスタイルでした。
曲面が織り成す色気や豪華さ・力強さを重視し、
権威性を高めたデザインを踏襲しています。
アンティーク家具を思わせる伸びやかな
ラグもその特徴の一つです。

※1961年製。旧来の曲線的なラグスタイル。
これらは国を跨いで併売されている。
1960年代初頭、OMEGAは
初めて12角形の文字盤と外装のデザインに
連続性を持たせたモデルを投入します。
それがこのドッグレッグ・デザインです。
面を繋ぎ合わせたようなスタイルは
ラグのみならず外装全体に共通しており、
角度を変えるごとに人工衛星のように
刻々と光を反射していきます。

平面的に見えがちな薄型ボディを
連続する面で起伏を持たせることで、
通常のラウンドタイプの時計以上に
奥行きを持たせることに成功しています。
同時に手首の形状に合わせてボディを
起伏させ低重心な作りとしています。
人工的な構造物としての美を強めながら
今まで以上に装着感を増しているのも、
装身具としての合理化と伝統を融和させた
結果と言えます。

単なるデザイン至上主義に終始しない。
それまで時計のフェイスから分離した
デザインであったラグが
面を折るという新たな表現を手にしたことで、
文字盤を含めたデザインと着用感を纏める
構造体として機能するようになった瞬間と言えます。
『ラグもひとつの構造体』という考えは、
形は違えど後のCラインケースなどにも
継承されています。
あまり注目されない点ですが、
文字盤の12角にも微妙な変更が加えられており、
よりエッジを立たせ輪郭を強調する仕上げに
変化しています。


こちらは1958年製。旧来のタイプ。
こちらの12角はやわらかい立ち上がりで、
大ぶりの装飾に添えるような表現。
ドッグレッグ・デザインの誕生は、
ミッドセンチュリー・スタイルの成熟による
表現の変化が大きいと当店は考えます。
『精密さ』を表すデザインは何かと考えた時、
その規律正しいスタイルで高性能を表現する
合理的なデザインが時代に求められました。
それが金属加工技術の発達で実現可能になり、
同時に時計が作り出す光の質そのものに
価値が見出され始めた結果と言えます。
このデザインを採用できることこそ、
メーカーの実力が提示されていた、とも言えます。
ドッグレッグは優雅さや贅沢さを強調した
それまでのConstellationとはだいぶ趣が異なります。
その60’sの機能性とモードさ、
クラシックさを内包した尖ったモデルです。
ドレススタイルとも相性は良いですが、
モードやヴィンテージスタイルのミックスで
特に活用いただけるキャラクターです。

お客様にとってどの年代/スタイルの12角が
最もしっくりくるか?は
当店ではフィッティングをもとに丁寧に
フォローいたします。
『12角』という一つの枠組みで捉えると
少し難しいデザインになりますので、
可能であれば是非試着をしながら、
ご自身のスタイルと比較してみて下さい。
なお近日中にはConstellationの
一大イベントを開催する予定です。
こちらも楽しみにお待ちください。
ところで『犬の脚部』を意味する
ドッグレッグ・ラグという表現、
元々は海外で呼称されており、
日本では浸透していませんでした。
それまではホーン・ラグ、
猫足ラグという呼称であったと思います。
2020年頃から店主が勝手にドッグレッグの
呼称を用いるようになったのですが、
この6年ですっかり日本で定着してくれました。
Speedmaster人気が根強かった当時、
Constellationを推し続けてきた当店としては
とても嬉しく思います。
時計だけを見ているとなかなか見えてこない世界を
これからも発信出来たら幸いです。
今後も皆様のライフスタイルに寄り添う
ヴィンテージOMEGAをセレクトしてまいります。
White Kings

