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2021/01/01 05:26

あけましておめでとうございます。

WhiteKings です。

2021年もどうぞよろしくお願い致します。
1月の営業日につきましてはこちらをご覧ください。



アンティークウォッチやヴィンテージウォッチの最盛期?は、秋冬と言われています。

機能面では、汗をかきにくい季節なので防水性の低い古い時計を着用しやすい時期であること。

心理面では、ファッションや衣替えに興味関心が向くこと。そして何よりヴィンテージウォッチの持つ『雰囲気』や『表情』が冷たい空気にとてもマッチするから、と当店は考えています。

活動的な夏に対し、この時期は静かでモノトーンな景観が多くなります。暖かな室内や人気の少ない屋外で物思いにふけることが多くなる中、古い時計が持つ情緒的な表情やキリっとしたシルエット・ある種の温かさなど、その”温度感”を強く感じる時期である気がします。


1950’s OMEGA 30mmCaliber Cal.266


そのせいかは分かりませんが、当店も秋冬になるとなぜかエイジングダイヤルの入荷が多くなります。
我々も無意識に個体が持つ表情の温かさに触れたい、と思うのかもしれません。


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ハニカムダイヤル。当店でたまに入荷する仕様です。

ハニカムダイヤルとは、
文字盤に蜂の巣状の立体彫りが施された仕様を指します。
主に1950年代でよく見かける造形です。



このハニカムダイヤルは必ずしも蜂の巣と同じ六角形とは限らず、菱形なども含まれます。
むしろ六角形の方が少ないのでは?と思います。

似た仕様にギョーシェ仕上げと呼ばれるものがありますが、ギョーシェは専用機材や手彫りによって彫り込まれる”装飾”です。放射状になっていたり並み模様になっていたり、その仕上げは様々です。

対してハニカムダイヤルは、どちらかというと”機能面”を重視した仕様と言われています。
艶消しの文字盤に均一な模様を施すことで光の反射を抑え、視認性を向上させています。

ギョーシェ彫りはもっぱら貴族や上流階級向けの大変高価な時計に用いられたのに対し、ハニカムは実用向けの腕時計で積極的に採用されてきました。

この時代の時計のガラス風防はドーム型で光を反射しやすいため、理にかなった仕上げとも言えます。


ハニカムは細かい起伏が織り成す立体構造ゆえ、エイジングによる表情の変化が非常に生きる仕上げです。
焼けに濃淡が生じることで随分と情緒的な個体が多いと感じます。

最近入荷したものですと、この個体。



1950’s OMEGA NonName Cal.501 honeycomb



50’sらしく、どこか甘いシルエットが魅力の1本です。

ラグ(脚)は、アンティーク家具のラグのようなデザイン。



金張りでコーティングされたボディと柔らかく甘いシルエットとの相性は抜群です。



この個体は真ん中だけが強く焼けたわけでなく、元々内側と外側で色が異なる”2トーン”等と呼ばれるカラーです。



焼けるとここまでコントラストが強く出ます。
当時はこのような経年変化まで考えていなかったかもしれませんが、重ねた歳月を感じさせる温かな表情です。



大きく盛り上がったドーム型風防にこのハニカムの表情は非常に映えます。



この時計はCal.501という自動巻きを積んでいます。


※画像は整備前です。

特徴は、自動巻きの機械の優しい音。
Cal.501とOMEGAの全回転型式自動巻きの前期にあたり、ローターが動くたび、ジリ...ジリ...と小さな音とともにゼンマイが巻き上がっていきます。

いかにも『自動巻き時計を着用しているな』と感じさせてくれる仕様です。
これ以降のモデルは機械の成熟が進み、ほとんど巻き上げ音がしなくなります。

当時の感覚なら当然『音は静かな方が良い』に決まっていたでしょう。
そのために時計は静粛性を進化させてきました。

ただこの小さく心地よい巻き上げ音を今の時代聞いてみると、心が安らぐような余裕が生まれるのも事実です。

『古い時計っていいな』と、思わせてくれる瞬間でもあります。


冬のワードローブとしてだけでなく、長く愛用していける1本としても当店はOMEGAをお薦めしています。

人から人へ受け継がれ、時を経てこの場に存在するヴィンテージウォッチ。
貴方の腕元に寄り添う1本として迎えて頂けたら幸いです。

WhiteKings