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2020/05/24 05:50

おはようございます。
WhiteKings 店主です。

よく時計の整備や修理依頼で
「いくらかかりますか?見積もりが欲しい」
「OHで文字盤はどのくらい綺麗になりますか?」
等のお問合わせを頂きます。


基本的に
前者は「基本整備料金は表のとおりで、合計金額は拝見してからお見積もりいたします」
後者は「OHのサービス外となるため別途お見積もりいたします」
と回答しております。






今回は時計の整備(今回はオーバーホール:以下OH)や修理作業を
・車
・人
に例えてお話ししようと思います。


記事中では 
『整備』は目的
『修理』は整備中の手段
としています。

以前もコラムで取り上げましたが、モノを直す時作業者は
点検→所定の整備→必要であれば修理→ 完了
という手順を踏みます。

整備はその名の通り"整える" 作業です。
整備過程で破損等が見つかった場合、初めて『修理』という”手段”が発生します。

整備と修理、目的と手段をごちゃごちゃに考えてしまうと、理解が難しくなります。
本当はもっと細かく分類が必要なのですが、わかりやすいよう2つに分けて話を進めます。

関連記事:OHについて


時計のOHは、「時計が正確な時間を刻み続けるため」に行われます。
れっきとした整備作業で、点検するだけではありません。

車でいう『公道を走るために必要な整備(法定整備)』
人でいう『身体機能を正常にするための治療』
に近いと考えて頂いて結構です。

これらの目的を達成するために、
『細かい調整をする部品を換える』
『薬を処方する・外科手術をする』
といった手段を決定します。

ちなみにもし
オーナーさんが「エンジンの調子が悪い」
患者さんが「わき腹の痛みが続く」
と相談したとして、ろくに診もせず「○○円です」と金額が出たら、不安になるはずです。

本来詳しくお話を伺ったり、車を診断機にかけたり、患部を触診したりCTスキャンをとったりするはずです。
概算はその後です。

時計も全く一緒です。
どのように調子が悪くなったか伺い、状態を確認し、作業や交換部品が決まって初めて実際のご請求に近い見積りが出せます。
そのため、冒頭のような回答となります。

時計は、100点を超える部品が数百分の1ミリの世界で構成されていますので、お話だけで原因を特定するのは困難です。
「朝起きたら時計が止まっていた」というお話でお預かりしたところ、実際は強い衝撃で時計の心臓部がへし折れていたこともあります。

そのため、必ず実物を診てから見積もりを作成いたします。



次は時計の『外装』の修理・修復・修繕作業についてです。



「OHすると見た目も綺麗に元通りになって返ってくるんじゃないの?」という考えですが、基本的には『NO』です。
外装に手を入れる行為は

車でいう『板金塗装』
人でいう『美容整形』
にあたります。
ご存じのようにこれらは車検の法定整備費用外、健康保険適用外です。
時計も同じで、外観の修復作業はOHの基本料と別料金になります。

「いや、メーカーの正規OHに出すと外装もきれいになって返ってくるじゃないか」
と思う方もいらっしゃいます。
それはOH料金に外装料金等も含めたいわば『OHパック』になっているためです。
あるいは『OH料』と纏めて書いてあっても、見積もりをよく読むと細かく個別料金が掛かっているもしれません(メーカーによって異なります)。

裏を返せば作業見積もりをよく見ないと、やってほしくない作業まで含まれている可能性があります(結果的に気に入っていた文字盤のデザインが変わる、時計に彫られていたメッセージ刻印が消える、等)。

「ブレスレットが切れたら、それは整形外科の治療に当たるじゃないか!」
という考えはもっとものようですが、ブレスレットは外装部品に当たります。

OHの本来の目的は『時計が正確に時を刻むため』に行う作業です。
『正確に時を刻む”以外”の作業は、全てOHの基本料金外』と考えていただくとわかりやすいかと思います。


今回は分かりやすいように細かい説明を省きました。
突き詰めると正しくない表現もありますが、おおよそ”OHってこういうものなんだ”と理解していただくために纏めています。

ご自身の専門外だからこそ
「値段がわからないと怖い」
「わからないのを良い事にぼったくられるんじゃないか」
と思うのはごく自然なことです。
お客様のご不安を取り除くため、事前のご説明・アフターケアは当店は惜しみなく対応いたします。

時計の整備や修理に関しては、当店のお問い合わせ欄、各種SNSのDM、直通のメールアドレス contact@kingsmen46.comまでお気軽にお問い合わせください。

WhiteKings 店主