重要なお知らせエリアを非表示

2020/05/23 02:42

こんばんは。
WhiteKings 店主です。

当店が店名の通り
『白』を基調としたドレススタイルを愛すること
そして同時に『黒』に強い拘りを持っている
と過去コラムでご紹介してまいりました。


店主は、『白』の時計には装いやトータルでの”調和”で生まれる格好良さ、『黒』の時計には”個”による孤高の格好良さを見出しています(あくまで個人的なスタンスです)。

黒いヴィンテージウォッチ。
これは男性に大変人気です。※アクセス解析データからも明らかな傾向です。

人気なのは数が少ないからでしょうか?
しかしリダン(文字盤の描き直し)が施され白から黒に生まれ変わった時計はたくさん存在し、相当数あります。

店主は単純な数の問題や稀少性ではないと感じています。

何かにつけて『男は黒が好き』と言われます。
今思えば店主が初めて買ったリコーの時計も"黒"でした。
確かに幼少のころから『黒がカッコいい』という意識はありました。

大人が着用するスーツ、靴、車、バイク。
バイクに乗る改造人間、鉄人28号の敵、主人公の師匠のロボット、途中で仲間に加わるライバルの戦隊戦士、コウモリのコスプレ男。
子ども心に "黒"に大人らしさ・スマートさ・特別感・そして孤独の中に芯のある『強さ』『本物っぽさ』のようなものを感じていました。

大人になって白文字盤ばかり収集していた店主ですが、いつの間にか子どもに戻ったように黒い時計も集め始めました。
男は永遠の子どもとはよく言ったものです。


要は蘊蓄ではなく、単純に『カッコいい』イメージを、黒に求めるのではないでしょうか。


当店の取り扱う”ブラックダイヤル(黒文字盤)”は、すべてオリジナル=当時のもの です。

それは黒に感じる『本物』『特別感』を大切にしている当店の性格ゆえです。

どうしても『それっぽく作った』ものでは、私どもは満足ができないようです。


オリジナルの入手は大変に手間です。
好きでなければこんな割に合わない仕入れはしたくない!と思うほどです。

創作リダン、フェイク、寄せ集め、時代の不一致、ひどい修復、ギャランティや書面を利用した本物感の演出...。
”人気だから売れればいい” 99%の『それっぽい』山をかき分けてかき分けて、ようやく『本物』を探し当てた瞬間、子どもの頃のあのワクワクが、どっと心の中に押し寄せる感覚があります。

でもそうしてやっと手に入れた『本物』は、自分のモノになることなく商品としてお譲りしればならない。
…書いていて辛くなります。

しかし『本物』をご覧になったお客様、仲間であるスタッフが目を輝かせて手に取る瞬間を見ると『頑張って探してよかったな』と思えてしまいます。



OMEGA Seamaster Automatic Silver letter ”Railroad” (自動巻き)




1950’s中盤のブラック・ミラーダイヤル。
ギルトダイヤルとも呼びます。この年代の艶感を帯びた独特の塗装面が特徴。

時代を超え使い込まれた道具が持つ鈍い光沢感を『古艶(英:patina)』と表現します。
この文字盤の経年変化はまさに”古艶”そのものです。



オリジナルのミラーダイヤル特有の、内側から湧き出してくるようなエイジング。
リダンにありがちな”剥がれ”とは違う、鉄板の浮き錆びのような、何とも独特な経年変化です。


はっきりと残った書体。
シルバーレターと呼ばれる、銀色に輝く書体です。



ゴールドレターより数が少ないとされ、冷たくキリっと引き締まった表情です。
(オリジナルのダイヤルでは、レター部分が判別不能なほどボロボロになることは少ないようです)。


短く切り詰められた針の周囲をぐるりと囲むミニッツマーカー。鉄道の線路(railroad)に例えられます。



50’s中期以前の、古風なアラビアフォント。





角度をつけてゆっくりと眺めていると、突然エイジングが消え、表面が澄んだ水面のようになる瞬間があります。



傷がない・仕上げがキレイといった美しさとは別のベクトルの『美しさ』が、この時計には宿っていると感じます。

丁寧に作りこまれたモノはそれ相応の意味あるエイジングをします。
単なる傷みや劣化と表現するのは勿体ない、なんとも味わいある表情は、丈夫さと表裏一体です。
すぐに朽ち果ててしまうほどやわな作りでは表現ができません。
長く愛されるために生まれた彼らが放つ古艶は、本物たる所以です。

『本物』に拘りたい当店の黒い時計。

気になる方はお問い合わせください。

WhiteKings 店主