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2020/05/16 07:48

おはようございます。

WhiteKings 店主です。


第二次世界大戦以降、腕時計は人々とってより身近なものになりました。


世界情勢の変化で軍に従事する人々が多かった時代。それまで支給品が殆どだった時計を自らの趣味趣向に合わせ購入する従軍者も増えました。

メーカーもそれを見越して様々な”ミリタリー顔”を製作したものです。


以前コラムで取り上げたキャップゴールドのMIDOなどは最たる例です。

https://whitekings.theshop.jp/items/27205913


この頃より、ミリタリーウォッチとドレスウォッチのデザイン境界が曖昧になってきます。

防水性を意識したねじ込み式(スクリューバック)の裏蓋、夜光塗料が厚塗りされたアラビア数字はミリタリーウォッチの象徴的なディティールです。

40年代中盤以降はその外観に変化が出始めます。前述の通り非支給品の販売モデルを中心に装飾品らしさがプラスされていきます。


1940’s OMEGA Military Cal.100 (手巻き)





店主はこの時計を見てミリタリーなのかそうでないのかしばらく悩みました。

一見堅牢な時計の外装デザインにドレスのような美しさを感じたためです。


ムーブメントはCal.26.5 T3 PC T1。ちょうどこの頃Cal.100に改称されました。

OMEGAがTISSO(ティソ)と共同開発し25年以上もの超ロングセラーとなったCal.26.5の末期モデルです。




ムーブメントを固定するための蛇腹状のステーやインカブロック(耐震装置)付の構造は当時のドレスウォッチとしてはやや仰々しい。

ラジウム夜光を使用したアラビアインデックスや青く焼かれた針(ブルースチール)は紛うことなきミリタリー。





しかしケース側面は緩やかなカーブをつけて美しくラウンドしており、武骨さとは無縁。





裏蓋等にも官給品を示すマークは入りません。





ラグ幅も17mmという軍需規格的には微妙なサイズ。

軍人向けに一般販売された”高級な”ミリタリーウォッチであったと考えるのが妥当でしょう。


腕に嵌めたときこのミリタリーCal.100が放つ上品さはまさにドレス。





ケース径が32mmでも、太く設計されたラグや幅広の17mmのベルトのおかげでしっかりとした存在感があります。

40年代の時計の ”鉄板”のような輝きを放つ塗装の質感は、エイジングを重ねても健在です。




 

当店もこの時計の正体を何としても突き止めたかったのですが、一向に情報が出てきませんでした。

外装はともかく、内部の機械は超ロングセラーだけあり部品が豊富で、長年所有するのにありがたい仕様です。

唯一無二を謳う当店にとって、この時計はコンセプト通りといったところです。


ドレス感とミリタリー感が同居する美しい時計、ご堪能いただければ幸いです。


商品ページ

https://whitekings.theshop.jp/items/29321542


WhiteKings 店主