2020/03/31 03:05
こんばんは。
WhiteKings 店主です。
ヴィンテージウォッチ、というと、皆様はどのような姿の時計を思い浮かべるでしょうか。
レトロな時計、フェイスが焼けた時計、小ぶりな時計、丸い時計、四角い時計、金色の時計…
多くの方は、繊細で上品な時計を思い浮かべることが割と多いのではないでしょうか。
店主もそうでした。
一口にヴィンテージウォッチといっても年代は様々で、見た目も構造もがらりと変わります。
今回はちょっとのクセの強い、しかしその絶妙なレトロフューチャー感が不思議な魅力を持つ、1970年代の時計をご紹介します。
1970’s OMEGA De Ville Automatic(自動巻き) Rectangler 未研磨

rectangle(レクタングル)英語で長方形を意味します。
rectangle”r” レクタンギュラーと表現するのは、時計やメガネなどに限られます。
1970年代は腕時計にとってはまさに時代の節目で、既定路線から脱却を目指し近未来的な時計が一大ムーブメントを巻き起こします。
70年代初頭はハイスペック・高防水・最新技術に各メーカーが果敢にチャレンジし、切削技術と高品質な材質を使用した個性的で強烈なモデルが次々に生まれました。
このDe ville ビッグレクタンギュラーは、これまでの”繊細で小ぶり”なレクタンギュラーウォッチのイメージを見事にぶち壊したモデル。
製造年数は4年弱と短く、そのインパクトから”TANK”という愛称で呼ばれるほどです。

もともとDe Villie(デヴィル・デビル)は、ドレスラインとして薄型かつフォーマルなラインナップ。
その中で突如として現れたこのモデルのインパクトたるや...当時の反応は推し難いです。
全長50mmにも及ぶ縦幅、手首が15㎝ほどしかない店主が装着すると、まるで巨大なバングルです。

建築物のようにせり上がった無機質なフォルム。びっしりと切りそろえられた面と面。

その姿は超合金でできたロボットのよう。
70年代の人々が思い描いた”未来”は、きっとこんな形をしていたのでしょう。
この時計の裏蓋は、横から板のような部品で蓋を抑え込むという不思議な構造をしています。

この構造は非常に手間がかかっており、オメガのオリジナルでしょう。
ケースは未研磨のまま。当時のシルエットをしっかりと感じ取ることができます。
(研磨作業=新品仕上げ は、時計の外装はきれいになりますが、表面を削るので本来のシルエットが崩れてしまうこともあります。当店では、それぞれの時計が持つ歴史を大切にしたいため、入荷した個体に研磨は行っておりません)
とにかく細かい削り出しの雰囲気が、70年代以前の時計とは全く異なります。
削り出した面がビシッと切り立っており、金属の冷たさ、硬質さを強く感じさせます。

60年代のそれとは違う、道具(ツール)としての美、無機質な美に溢れています。
見るものに強烈なインパクトを残す、独特の魅力を放つ70年代のヴィンテージウォッチたち。
丈夫な外観も相まって、60年代以前の時計よりも使い勝手の良いモデルが多いと言えます。
あまり注目されず不遇な時代もありましたが、時代は移り変わり、クリエイティブな若い世代を中心に”新しい” ”カッコいい”と再評価され、リバイバルモデルも多数リリースされています。
当店は時折このような癖の強いモデルも扱いますが、時計が好きで、分け隔てない愛情を持ち続けたいがゆえ、”人気度”や”資産性”にとらわれないこのような時計も大好きです。
今後も定期的に70年代の時計をご紹介してまいりますので、楽しみにお待ちください。
WhiteKings 店主