2020/03/29 03:38
こんばんは。
WhiteKings 店主です。
店主が個人的に好きなヴィンテージ時計に、MIDO(ミドー)があります。
このミドーをご存じない方は多いかと思います。
ミドー社はスペイン語の”私は計測する”を社名の由来とするスイスの時計メーカーで、今もOMEGAやLONGINES、BREGUETが所属する世界最大の勢力・スウォッチグループ内で健在です。
1930年代に世界に先駆けて自動巻きムーブメントを世に送り出し、当時の自動巻きモデル”マルチフォート”は、一時期ROLEXのバブルバック(オイスターパーペチュアル)以上に名が通っており、最新自動巻き腕時計の代名詞に数えられました。
自動巻き時計の普及に大きな功績を遺したにも関わらず、現在のミドーはマイナーと言えます。
ミドーは独自の自動巻き機構を保有しつつ、ムーブメント製造メーカー(エボーシュ)が供給する手巻きムーブメントに自動巻きユニットを組み込むことでマルチフォートの機構を実現しました。
そのためミドーは技術屋として確かな素養を持ちながらも、マニュファクチュールメーカー(自社一貫生産)を名乗れませんでした。
これがマニュファクチュールメーカーを高く評価する現代において評価されづらい要因だと店主は見ています。
しかしミドーは各社に自社専用のムーブメントを製造させる等、その影響力たるや相当なものでした。ミドー向けの機構をもとに発展した汎用ムーブメントも存在します。
ミドーは常に最新の機構を搭載し最良の選択肢をとることを良しとし、当時のマニュファクチュールメーカーと比較しても、時計の総合力では勝っていたかもしれません。
またその優れたデザイン性は今日において非常に高く評価されています。
1940’s MIDO MULTIFORT EXTRA FLAT

エクストラフラットは自動巻きのマルチフォートより後年にリリースさました。
当時の自動巻きは手巻きムーブメントの上に自動巻き機構を載せた二階建て構造で、ムーブメントに厚みがありました。
またパーツ点数が多いほど故障は多くなりますので、エクストラフラットはより基本に忠実で故障リスクの少ない、かつ薄型でドレッシーなモデルでした。
色気のあるローズゴールドに、軍用モデルの顔という大胆な組み合わせ。
ミドーの世界観が爆発した実に独創的な1本です。

この手の時計は竜頭が社外品に代わっていることが殆どですが、純正の竜頭がついています。
赤いメタリックの書体で描かれた”MIDO”が光に反射し妖しく光ります。

ローズゴールドの金無垢ベゼルをはめ込み、ラグ部分には金無垢のプレートを貼り合わせています。
真横から見るとラグ部分がはっきりとステンレス/金無垢の二層構造となっているのが分かります。

表からみると金無垢、裏から見るとステンレスケース。
この非常にユニークな構造は”キャップゴールド”などと呼ばれ、金をコーティングする金張りや金メッキとは全く異なり、異素材をセパレート方式で併用し金無垢時計のように見せています。
これは貴金属に高額な関税をかけていた特定の輸出先に向けた仕様で、絶対数は少ない傾向にあります。
とりわけミドーのキャップゴールドは殆ど現存しないのではないでしょうか。
マルチフォートの売りは防水性と耐磁性でした。
このモデルは薄さを実現するためムーブメントを保護する軟鉄ケースを持ちません。代わりにムーブメントを保持するステー自体を軟鉄製とし、磁力を受け流す仕組みをとっています。
ケースは多角形の防水ケースから、スイスTaubert社製。

当時Tauber社が特許を取得したばかりのこのケースをいち早く採用したミドーの姿勢は、時計を実用足るものに昇華させる強い使命感のようなものを感じさせます。
ムーブントは名門 プゾーベースのセンターセコンド。

インカブロックや当時最先端のセンターセコンドを採用している点にも、やはりあらゆる構造に最良の選択を盛り込んだミドーの志が感じられます。
このプゾームーブメントは信頼性が高く現存数も多いため、メンテナンスが比較的容易なのもありがたいと言えます。
当店も、ミドーでこの仕様の入荷は初めてです。
是非特別な1本として迎え入れて頂ければと思います。
【商品】
https://whitekings.theshop.jp/items/27205913
WhiteKings 店主