【コラム】RADO-ラドー- が持つ世界観

2020/02/05 06:14

おはようございます。

WhiteKings(ホワイトキングス)店主です。

度々お話しておりますが、当店のラインナップには店主のコレクター時代のコレクションも含まれます。

元々当店のラインナップはそういったコレクションが中心でした。

それぞれ、メンテナンスや手にした思い出を含め、非常に思い入れを持って接してきた時計ばかりです。

そのため、ヴィンテージウォッチを販売するにあたり、お客様のもとへ時計が旅立つことを大変嬉しく思うと同時に、少し寂しくなるのも事実です。いつも旅立っていった時計たちが大切に引き継がれていくことを願っております。

今回の時計も、店主が思い入れを持って愛用してきた1本です。

1970s RADO Green Horse Automatic 41jewels

この個体は2008年、とある時計店で店頭に並ぶことなく眠っていた未使用品を店主が譲り受けました。

店主が初めて手にしたスイス製のヴィンテージウォッチが、まさにこのグリーンホースです。

OMEGAコレクターを名乗る店主のファーストヴィンテージがまさかのRADOとは若干気まずいですが、同時期に見比べていたシーマスターではなくグリーンホースを先に手に入れたことに今でも後悔はないと言えます。

長兄のゴールデンホース、末弟のパープルホース、そしてこのグリーンホースで構成されるHorseシリーズは、かつて日本の高度経済成長期において高級舶来時計の代名詞として広く知られた存在でした。

今日ではそのデザイン性とクオリティが再評価され人気が高まっているシリーズです。

RADOのHorseシリーズの大きな魅力はその凝りに凝ったデザインと、安定感のある機械を採用した使い勝手の良さの、絶妙なバランスにあります。

同世代のスイス時計勢の中でもhorseシリーズのデザイン力は群を抜いていたと言えるでしょう。

自社でムーブメントの開発を行う『マニュファクチュール』メーカーではないにせよ、ムーブメントの開発にかかるコストを全て外装クオリティにつぎ込んだのではと思わせる拘りぶりです。

むしろ、マニュファクチュールでないからこそできる戦略に打って出たのでしょう。

ドーム状に膨らんだボンベダイヤルの下部に配された小さなタツノオトシゴは立体造形で繊細に形作られ、背中や口の細かな凹凸まで再現されています。そのカラーは釉のような透明感あるグリーンで表現され、味わいある色使いです。

このような”グリーン”の仕様は他メーカーでは滅多に見かけません。

また、Horseシリーズといえば外せないのが”回転する”錨マーク。角度をつけると小さな錨が滑るように向きを変えます。

こういった一見何の役にも立たないギミックにも、丁寧な仕上げを施しているのがRADO流といったところでしょうか。

裏蓋のレリーフはこれまた豪華な立体刻印となっており、”良い時計をつけているな”という満足感を強く体感できます。

幸運の象徴とされるタツノオトシゴが時計に計4匹。腕に着けているだけで良い運気を引き上げてくれそうです。

その他、錨マークが刻印された竜頭や透かしの入った純正風防など、とにかく外装への拘りが半端ではありません。

これだけ独自の意匠を随所に取り入れながらも、ごちゃごちゃとしたデザインに成り下がらない絶妙なバランス感を保っているのも、このHorseシリーズが『名作』と呼ばれる所以でしょう。

またRADOはデザイン性だけでなく、時計の基本性能を忠実に守り実用時計としての品質を徹底していました。

ムーブメントはA.シールド社のモデルをベースにしており、当時としては抜群の信頼性を誇る機械です。

また、自社仕様として表面に金メッキを施し多石化するなど、同社の熱の入れ様が見て取れます。

ケースバック＝裏蓋はしっかりと内部を保護する堅牢なロック機構。

ケースバックを開ける際は90度回し、もう一度反対方向に渡すことでロックが解除されます。※何も知らずオープナーで無理やり回すと壊れてしまいます。

当店が初めてヴィンテージウォッチを検討される方にRADOをお勧めする機会が多いのも、こう言った丁寧なモノ作りからくる『信頼』、そして『所有欲』を満たしてくれる仕様です。これらは当時時計に詳しくなかった店主が、長年使用した経験に基づいています。

愛らしく向かい合ったタツノオトシゴに一目惚れした店主としては、Horse3兄弟の素晴らしさを皆様にお伝えしたいと考え、今回販売に至りました。

販売にあたり再度OHを実施いたしましたので気持ちよくお使い頂けます。

02月22日から開催の静岡・浜松でのポップアップショップでも展示いたしますので、是非ご覧ください。

【ドレスウォッチ】

WhiteKings 店主