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2020/02/04 06:20

おはようございます。

WhiteKings(ホワイトキングス) 店主です。


当店がOMEGAのラインナップに注力する理由は度々述べておりますが、OMEGAコレクターである店主の趣味を反映していることはもちろんのこと、お客様に安定した品質のヴィンテージウォッチをお届けできるのは、やはりOMEGAであるというのが当店の結論です。

またその長い歴史とラインナップが、様々な”唯一無二”の個性を備えたバリエーションに繋がっており、当店としてもどこまでも深く掘り下げることができ、強い熱量を持ってお勧めできるブランドと考えています。



新入荷です。


1957 OMEGA Seamaster Automatic Cal.500 Black Dial



オリジナルのミラーダイヤルです。

ミラーダイヤルとは、1950年代を中心に黒文字盤に採用されたグロス仕上げの文字盤です。

表面にニスやラッカーといった光沢塗料を塗ることでその艶が表現されています。



古道具のようないぶし銀の風格が随所に現れた個体です。

ところどころ緑青色に錆びついた針は、文字盤の色味に合わせ敢えてこのままにしています。

この針を新品に替えてしまうと、ヴィンテージカーの足元に最新のアルミホイールを合わせたような、妙なちぐはぐ感が生まれてしまうと感じたためです。


当店は、ヴィンテージウォッチの中の状態を判断する場合、針の錆びを一つの指標にすることを推奨していますが、この個体に関しては素晴らしい状態のムーブメントが眠っていました。針の錆は杞憂に終わった個体です。



おぼろ月のようなアンニュイな表情はオリジナルのミラーダイヤルのエイジングでしか表せません。


ミラーダイヤルはゴールドインデックスとの組み合わせが多いですが、このモデルは珍しくシルバーカラーのインデックスとの組み合わせ。

どことなく冷たくひんやりとした印象を持ち合わせています。


このような文字盤のエイジングをただの劣化ととるか、価値ある変化ととるかは長年議論されていますが、各々の感性に依存するものですので答えはこの先も平行線と思います。

アンティークチェアをただのボロ椅子ととるか、味わいのある逸品ととるかは、その椅子の状態やヒストリー・受け取り手の捉え方で大きく変わってくるのと同じことです。


ちなみに当店の回答としては『使い古されたものが見せる錆び・傷・くたびれた表情、すべてがその時計を”個”たらしめていると捉えており、また手間暇かけて形作られたものはそれに見合った意味あるエイジングをする』となります。


オリジナルのミラーダイヤルのエイジングも、やはり意味あるモノと捉えています。

エイジングの特徴は、レタリングされた金文字=ゴールドレターと、文字盤の経年変化は必ずしも一致しないという点です。

黒文字盤がどれだけ色あせしても、ゴールドレターは文字盤の上に浮かんでいるかのように、当時の表情を湛えたままです。

これは後年のプリントやフィルムの貼り付けにより表現された文字盤では見ることのできない特徴です。



また、様々な塗料を混ぜ合わせて表現された黒色は独特の色抜けを起こし、保管環境によって非常に多彩な表情を見せます。

最も有名なのは文字盤の奥からブラウン(ブロンズ)の色が透けるように現れる”ブラウンチェンジ”です。

別個体のブラウンチェンジ



今回の個体に関しては、塗料から浮かび上がってきた金属光沢がキラキラと輝き、パールドットを思わせるエイジングとなっています。

ブラウンチェンジとは趣が異なりますが、ミラーダイヤルとしての魅力を存分に味わえるエイジングと考えています。




当店は、ミラーダイヤルの魅力を身近に体感する時計としてヴィンテージOMEGAが最も適任であると捉えています。

ROLEXのミラーダイヤルはもはや非現実的な金額となっており、実物を腕に嵌めることすら困難となってしまいました。


OMEGAに関しては、まださほど研究が進んでいない部分が功を奏してか、資産性ありきの部分から一歩引いた立ち位置でミラーダイヤルを楽しむことができます。


当店は腕時計は腕に嵌めてこそと考えております。

腕に嵌めて楽しみ、その個性を味わえるヴィンテージとして、今後もヴィンテージOMEGAの魅力を伝えてまいります。


【商品】

https://whitekings.theshop.jp/categories/2024338


WhiteKings 店主