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2020/01/07 06:47

あけましておめでとうございます。



WhiteKings(ホワイトキングス)店主です。



2020年、本年もよろしくお願いいたします。



当店は以前から何度も取り上げている通り、古いOMEGA(オメガ)の愛好家集団を成り立ちとします。



本年は、当店が得意とするOMEGAにフォーカスし、メジャーなモデルから日本ではあまり知られていない様々なタイムピースまで、当店のコレクションとして展開していきたく思います。



当店ブログでは、コラムとしてヴィンテージOMEGAにまつわる様々な情報を発信してまいります。



本年第1回目のブログでは、数々の素晴らしい名作を遺しOMEGA社最大のセールス規模を誇りながら、時代と共に消えたシリーズ

”Genève” (ジュネーブ)について取り上げます。











日本では"昔あったOMEGAの安価なシリーズ"程度の認識でしかありませんが、ジュネーブを画一的にただの廉価モデルと位置付けることはできません。

それにはシリーズとしての成り立ちが関係しています。



ジュネーブの歴史は1953年代まで遡ります。

当時のOMEGA社が時計の精度を競う天文台コンクールで数々の輝かしい功績を遺した史実はあまりに有名です。このコンクールをきっかけに誕生したOEMGAのモデルは多岐にわたりますが、その中でも開催場所である”ジュネーブ天文台”を名に冠して登場したのがこのジュネーブでした。


1960年頃のジュネーブのデザイン




コンクールの成功を象徴するモデルだけに、初代ジュネーブは格式あるドレスウォッチとして誕生しました。

誕生背景に相応しく作りは豪華そのもので、ムーブメントは当時のOMEGAを代表する名機”30㎜キャリバー”を採用、文字盤は最上位モデルの初代コンステレーションによく似たパイ皿状の立体ダイヤル、更には”OMEGA”の書体は植字による立体エンブレムと、裏蓋のレリーフがないことを除けばフラッグシップモデルに匹敵する造り込みでした。



普及機としてのジュネーブが誕生するのは1960年代に入ってからです。

この時代、腕時計は従来の上流階級の持ち物から一般市民にも手が届く存在となり世の中に大きく普及し始めます。


この時期にOMEGAは次世代機のCal.500番台(自動巻き)、さらに後年には600番台(手巻き)、レディースの680番台など、歴史に残る名機を矢継ぎ早に開発します。



Cal.501





この時代のムーブメントたちは、どれもOMEGA史上最高傑作と呼ばれるほどに完成度の高いものでした。

OMEGAは世界に誇るこのムーブメントの量産体制を更に強化し、絶対的な信頼性とブランド力を確立させようとしていました。


その尖兵として用意されたのが、”普及機"としての新たなジュネーブでした。


OMEGAは、当時コンステレーションを除いたほぼすべての紳士用時計に、同一規格の自社ムーブメントを搭載させるという手法を突き通します。


シリーズやモデルによって価格差や外装の仕様差はあれど、搭載ムーブメントに優劣をつけないことで、全てのモデルに極めて安定した性能を付与し、同時に生産体制の一本化を図ったのです。


例えばROLEXは、TUROR(チュードル)をセカンドラインとして分離しました。

外装はROLEXと共有、機械は社外製ムーブメントのチューニング品を採用する形で、知名度拡大のための廉価ブランドとして差別化していました。


それに対し、OMEGAは自社の優れたムーブメントをアピールするために、廉価機であろうと自社の持てるクオリティを注ぎ込みました。

全ての紳士時計にハイクオリティなムーブメントを採用すのはかなり大きな決断であったと思います。

当時は価格帯や格式によってムーブメント品質に差をつけるのが一般的でした。いかにOMEGAが高品質な時計の量産技術を確立しており、自社製ムーブメントに絶対的自信を持っていたかが伺えます。


かくしてOMEGAは、兄貴分にあたるシーマスターやデビルと同等性能を有しながら、普及機として非常に戦略的なポジションを与えたブランド:新生ジュネーブをスタートさせます。



OMEGAが考えたシリーズの価格構成は大まかにこのような構想でした。



フラッグシップ機:Constellation(コンテレーション)

中級機:Seamaster(シーマスター)

中級機:De ville (デビル シーマスターからの派生)

普及機:Genève(ジュネーブ)

※スピードマスターはプロフェショナル用モデルでしたので除外します



当店はジュネーブとシーマスターは、本来ドレスウォッチとして同格であると考えています。

その証拠に、シーマスターとジュネーブは外装パーツに多くの共通点や互換性を持っていました。

60年代には"シーマスター ジュネーブ"というクロスオーバーモデルが存在するなど、ブランド内での棲み分け以外では、造り込みに遜色ない同格の品質でした。



ラウンド・ストレートラグ



日本人が最も馴染み深いジュネーブ:トノー型



更にOMEGAは、ペットネームがなかった"ノンネーム"と呼ばれる旧モデルたちにもジュネーブの名を与え始めます。


共通項の少ないノンネームのモデル達が一斉に"ジュネーブ"を名乗り始め、OMEGA史上最も大規模かつ複雑なシリーズ体系を持つ

『新生・ジュネーブ』が形づくられていきます。

 

続く


ジュネーブのラインナップは【こちら


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